伏せ、と、休め、似ているコマンドですが本来違った意味を持っています。
「伏せ」は後ろ足を揃えて腹の下に置き、すぐに次の動作に移れる体制をとる姿勢で、休めは正にリラックスした姿勢です。似ている姿勢ではありますが、本来違った意味合いを持ちますので区別して教える事も考えられますが、訓練競技会、資格審査会、使役犬としての訓練等、特別必要であれば勿論の事ですが、家庭犬として休めの姿勢であってもその姿勢で長い時間マテが出来るとすれば、あえて分けて教える必要もないと私は思いますが、訓練所によっては始めからしっかりと分けて教えてくれる所もあります。もちろんそれが本来の形である事は間違いありません。

伏せ、を教えるにも方法は沢山あります。リードと餌を使って形を教える、イスやひざを使って下をくぐらす、わきの下で抱えながら形をとらせる、等方法は沢山ありますし、本屋さんに並んでいる躾、訓練の本にも沢山の方法が載っています。どの方法を選ぶかはそのWANにはどれが適当かを考えてやってください。たとえば、餌の食いの悪い子に餌をつかって教えようとしてもなかなか思うように覚えてくれなかったり、元気のいい大型犬を抱えながら伏せの形を教えようとしても女性などはなかなか大変です。WANが喜んでその形を取れる方法をいろいろな形を使って試してみてください。 

 ここではリードを使った方法について紹介します。先ず座れ、マテのコマンドを与え右手に好きなフードやおやつを持ちます。もちろん大好きなボールやぬいぐるみでもOKです。左手はリードを短く(WANの首輪のところ)持ち右手の餌に集中させます。右手を上下左右にゆっくりと動かしながらWANの目がついてくるかを確認します。
 右手に集中している事を確認したらタイミングを見て、左手と右手のフードを同じタイミングで下げてやります。この時に「伏せ」のコマンドも一緒に出します。この三つの動作を一緒にタイミングよく与えてください。
 集中している右手のフードやご褒美は、ゆっくりと L  の字を書くようにはじめは静かに真下に下げ、WANの目がついてくるのを確かめながら、ゆっくりと手前に引いてやるのがポイントです。
形が取れたらご褒美をやり、伏せをしている前足の上に手を置き伏せ、伏せ、と何度かコマンドを繰り返してください。 早い子は2~3回で覚える事もありますが、焦らずに何回か繰り返してください。はじめはなかなか出来なくても何かの拍子に突然やる事もよくある事です。WANが嫌がらないように気をつけて反復練習する事が大切です。

ここでの注意とタイミングですが、WANが嫌がったり飽きてきたら強引に続けない事。様子を見て気分のいいときに繰り返しやってください。リードとフードを下げるタイミングですが、タイミングがばらばらですとうまくいかないのは当然ですが、フードを下げる方向によっても違います。前過ぎても、真下過ぎてもWANは立ってしまいうまくいきません。まず、フードや指先に集中させたらそれを真下におろし、そのままLの字を書くように斜め前方、伏せをした時にちょうど口のあたりに来る角度が最適です。
なかなか前足を出してくれない子も多く、リードを下に引きながら自然に前足が出るように何回か位置を変えながら試してみてください。いずれにしても焦らない事、出来ないからといってWANにあたらない事、逆に出来たら必ず誉める事。絶対忘れないでやってください。

 全てについてそうですが、動機付けとして興味のあるフードやゴホウビを与えることはいいですが、WANが理解をしてきたら出来るだけ早いうちにご褒美ではなく、ほめてやる事に喜びを感じるように進めてください。毎回が三回に一回、五回に一回、十回に一回、必ず出来たら誉める、出来たら誉めるの習慣をつけながらやっていくうちに、今度はもらえるか、今度はもらえるかと思いながらも、心から誉めてもらえる事に本来の喜びを感じてくれるようになります。

誉める時にはそのWANによって違いますが、テンションの高い子には静かに愛撫しながらゆっくりとし、おとなしいシャイ気味な子には少しオーバー目に誉めてやってください。貴方にしっかりとした愛情があれば必ず伝わります。