リードを使った訓練

ほとんどの場合訓練には訓練用リードを使います。特殊な訓練にはそれに合った専門のチョウクカラーを使うケースもありますが、家庭犬としての基本訓練の場合はペットショップなどで売っている一般の訓練用のカラーで充分です。材質についてはWANの大きさ、体型、力の強さなどによっても違いますので、必ずその子に合ったカラーを使いましょう。リードについても同じことです。基本的には弾力性や柔軟性から見て皮製のものが適当かとも思いますが、最近では布製の物も良質なものが多く見られますので自分の手に持って確認してください。 けしてカラフルなデザインだけで選ばないよう気をつけましょう。 

 

リード、カラーの使い方 

カラーとリードを持ち、張り切って教室に出かけてきた人が、 「これ、どうやって付けるんですか」 と、聞いてくる人が沢山います。買ったお店で聞くことはけして恥ずかしい事ではありませんので必ず店員さんに聞いてみてください。 ただし、買ったお店で使い方を聞いたら店員さんも良く分らなかったという話もありますので、ある程度信用できる交換可能なお店を探すのも大切な事です。しっかりしたお店だと、その犬種を聞き、その子に合った物を探してくれる所もあります。今訓練用として一般に使われているカラーはチェーンカラーと呼ばれるもので、両側に金属の輪が付いているものです。材質については皮製、金属製、布製と沢山ありますが、長さ、太さ、など充分考えて用意しましょう。

カラーは、片方のリングを使い P の形にします。 9 の形にする方法もありますが、ショックを与えたときに P のほうがスムースに緩んでくれるのでここでは P 型を使います。 

WANを自分の左に付け座れが出来る子は座らせてマテをかけます。 まだ訓練が出来ていない子は誰かに抑えてもらいすばやくカラーをかけます。 カラーのかけ方は、P に作った輪を左にいるWANの首にそのまま差し込んでください。 持っているリードをナスカンでフックし素早くカラーがしまるよう軽く引いてください。 はじめはカラーがゆるいのですぐ抜けてしまうのではと思いがちですが逃げようとすればするほど輪が締まるので、首輪に比べても抜ける心配はまったくありません。

ここでのポイントは、カラーは必ずアゴの下に付けるという事。 PのかたちをWANの首に入れこれで出来上がりと思っている人がほとんどではないかと思いますが、より効果的に使うには、出来るだけ首の上、あごの付け根、にセットしてください。こうする事によりカラーを使ったショックの効果が充分伝わるようになります。 特に大型犬になると力も強く、女性などではほとんど力負けしてしまいますが、この方法だと小さな力でもWANには大きく伝わりますので安心です。 こういうセットをしますと、リードが顎の下から出る感じになりカラーはあたまのてっぺんまで周りますのですぐ抜けてしまいそうな気がしますが、絶対抜けませんのでご安心を。 また、何度かやっているうちに緩んで下がってしまったら、又元に戻してください。

もともとこの訓練用カラーは、いけない事をすると締まり、良い事をしている時は緩んでいる状態を作る為のものです。 首が締まればWANも苦しくなり、カラーが緩めば苦しくないので楽になります。 この単純な原理をうまく使いながら、いつも楽でいられる状態を体で覚えていきます。 このことはリードを使った訓練の基本原理ですので、これからの訓練の中でうまく使っていきます。 とはいえ、この基本原理をWANに分かるように使いこなすのはなかなか難しい事もあるので少しづつタイミングを勉強しましょう。 プロの訓練士、ハンドラーはこれのプロといってもいい位です。 

 

リードの持ち方、握り方  

リードの持ち方の基本は右手に持ちます。リードの端末にある輪に右手親指に差し込み、WANが離れようとしても離さないようにしっかりと持ちます。長すぎるリードは途中を右手で握りなおしてください。 はじめは右手だけではWANを操縦出来ないので左手を添えます。このときの左手は、たらしたリードをそのまま横から握るようにつかみ、添えてやります。左手の握る位置は、自分のひじを体にぴったり付けた状態で、腕だけでWANを操縦出来る位置に持っていってください。つまむように持ったり、差し出すように持ったのではこれから話すショックのタイミングがわずかですが遅れてしまいます。訓練の上でこのコンマ何秒というわずかな時間がWANにコマンドが伝わるか伝わらないかの違いになります。このわずかな時間、タイミングをクリアーするには、腕を引くのではなく、リストを使ってショックを与えなければなりません。これも少しづつマスターしましょう。 

 

脚側行進の基本 


    訓練の前に、WANと貴方のコミュニケーションが取れている事が  先決です。

脚側行進は、貴方とWANが安全に公道を歩くための基本です。 動きながらのコマンドや判断のため簡単にはいかない部分もありますが時間をかけてゆっくりと習慣付けましょう。 

WANを左に付けます。「あとへ」、「付け」、「来い」、必ず名前を呼びながらコマンドを与え、出来れば左手で自分の腿をぽんとたたいて前進します。 太腿をたたくのは視符としての合図ですのではじめは同時にコマンドを与えます。一歩踏み出した時に軽くショックを入れてやると勝手に前に出たがらなくなりますのでタイミングをみてやってみて下さい。 

ショックの与え方

ショックの使い方についてお話しますが、今まで勉強してきた事を思い浮かべながら少しづつマスターしてください。「リードはWANに何かを伝えるための信号腺」、だということ、リードを使って「いつもはWANが楽な状態を維持する」、このことを念頭に於いて考えてみましょう。                     先ずショックは強く、短くが基本です。前に出よう、横に逃げようとしている子にコマンドを与えながらショックを入れますが、強くとはその子に充分分かる強さ、短くとは0.5秒くらい、1秒では長すぎます。このように命令を与えたらすぐ緩める事、この為にも腕で引いていたのでは間に合いません、リストをうまく使いましょう。 
 また、引っ張っている状態からはショックは使えませんので、一度緩め、すぐに大きな力でショックを与えてください。このようにしてショックを与えますが、一度で効かない場合はこれを何度か繰り返します。 このように細かく命令を与えるには、5秒間で10階の命令を出します。(2秒間で4回)でもいいですがWANにコマンドが伝わるまで軽い命令を与えます。 
大型犬等は力も強いので、リードは後ろから右肩に回し右手でしっかり持ち左手でコントロールを工夫する。 
中型犬の場合は、後ろから自分の腰を回し同じようにWANに自分のヒールポイントを教えるのも大変効果のある場合もあります。
いずれにしても一本のリードを通してどれだけ貴方の気持ちがWANに伝わるかが問題です。 少しづつマスターしましょう。

脚側行進での基本の形は、WANの頭部が常にひざの横10センチのところをキープする事。

WANは常にハンドラーに注目し、ハンドラーの指示を待ちながら行進する。(アイコントロール)

ハンドラーの持つリードは常に緩み、たるんだ状態でなくてはならない。

以上三つの事が出来るよう心がけて訓練してみましょう。
また、出来たら必ずほめる事。常に声をかけながら、勇気付けてやり、安心して喜んで付いてくる習慣をつけてください。ハンドらーが楽しければWANも必ず楽しくやってくれます。 

前にも話したように、何かを教える時のタイミングは、何かいけないことをしようとしている時に「いけない」の指示を与えることです。 また、ほめる時のタイミングは、いい事をしたらすぐにほめる事、これが基本です。行進中に横に出たり、前に出すぎたりと、WANが行動をおこしてからコマンドを出しても意味ありません。もう一度思いおこしてください。 

[リードは逃げようとする犬を引き寄せる紐ではなく、WANに命令を伝えるための信号腺です]

毎日の生活の中で、自分のWANの性格、行動パターンは貴方ならわかるはずです。 前に出ようとしている時、横に逃げようとしている時など、WANが行動を起こす前に貴方が先に察知して「あとへ」のコマンドと同時に
ショックを与えてください。 

このように、訓練については指導士である貴方の感性や運動神経も要求される事もありますので、日頃から意識して気配りをするよう心がけましょう。