最近テレビを見ていると動物特集やペット特集が多いですね。
プロの訓練士からキャラの強い一般人までさまざまな人が出演されていますが、それぞれにうちの子が一番と自信を持って張り切っています。 もちろんそれはそれでいい事ですが、それにこだわり過ぎて本来の触れ合い方を見誤っている方もたまに見受けられます。

 それぞれに教室に通われたり訓練所に預けたりで、そこそこの費用もかかっていることと思います。必要に応じてお金を掛けなければいけないことは勿論ですが、ただお金を掛ければいいというだけのものでもありません。教室に通われたとしても、他の子より進歩が遅かったり、自分の思うように動かないとイライラして犬にあたったり、またそれが顔に出たり、・・・。訓練所に預けても自分がリードを持つとなかなか言うことを聞いてくれなかったり、ましてや飼い主を避けようとする子もいます。{高いお金を出したのに・・・。」とむくれてみても始まりません。常に結果と形だけでその子の能力や服従性を判断しようと考えているように思えます。もっとその子と心のつながりがあれば犬は必ず貴方に服従することに喜びを感じるはずです。

 プロの訓練士さんは、毎日いろいろな犬たちと接しています。大きさも違えば性格も勿論違います。基本的な訓練方法はあると思いますが、犬のいろいろな動作の中で何をどうすれば一番その子に伝わるかは無意識の中で的確に行っているはずです。 何年もかかって体で覚えた職人ですから。それを皆さんがやったとしてもすぐにうまくなどいかなくて当たり前です。カラフルな服を着せたり。色あでやかに毛を染めてみたり、飼い主にとっては楽しい一瞬かもしれませんが犬にとってはかえって迷惑の場合もあるはずです。家庭犬として考えると楽しみ方はもっと沢山あるはず。そんなことよりもっと貴方が出来る、貴方しか出来ないことも沢山あるはずです。早くそれに気付いたほうがいいと私は思います。

 「何が出来たら家庭犬・・・!」  そう、何も出来なくてもいいんです。ただ、他人に迷惑をかけたり、自分勝手なわがままを言って自己主張ばかりが強くなければ、そうなってくれるように毎日の環境を作りましょう。
多少吠えようが多少噛み付こうが、家族がそれでかわいいとすればそれはそれで一つの飼い方です。ただし、せっかく犬を飼ったのなら、その中でより多くの楽しさや幸福感を求めようとすることは当然のこと、お互いが無理の無い形で努力しようとすれば、必ずお互いを分かり合える日が来ます。それには必ずお互いを信じあえる愛情があってこそ始まるものです。愛情とは、その中に大きな厳しさも必ず同居しているものです。お互いに甘えることの無いしっかりとした愛をはぐくみたいものです。

 強制服従訓練も六ヶ月を過ぎてからで充分、ただ、それまでに教えておいてほしいのは「座れ」「待て」これだけで大丈夫です。ただしやり過ぎないこと、教えたらすぐに出来たからといって面白がって回数を増やしたり、時間を長くしたりしないようにしてください。その子の月齢に合った形で必ず出来るようにしてください。本当に喜んでやってくれるのならまだしも、無理やり我慢をするという事はそれだけ自分も精神的に強くならなければなりません。それがうっかりすると、犬の本来持っている攻撃力や狩猟本能を助長させてしまう結果になることもあるからです。
特に小型犬など失敗されるそのほとんどが六ヶ月から八ヶ月の間に多いようです、
 これは第一次成長期も終わりに近くなると、そこそこ体力も付き、間違った社会化の結果精神的にも強くなってきます。そのなかで「わがまま」自己主張が強くなり、家庭という群れの中での序列を勘違いしてしまうからです。我々でもうっかりしているとその瞬間を見逃してしまいそうになる事もあります。
飼い主さんの中の誰かがそれに気がつけばいいのですが、頑張って躾をしているつもりがその事に気がつかないで、攻撃という結果が出てからあわてるケースも多いようです。

 子供さんが、遊びのつもりで犬の嫌がる事をしてしまったり、またその時に単純に犬の本能で攻撃した事をそのまま容認してしまったり、おばあちゃんが「まあいいか」とその子のわがままを無関心に聞きすぎてしまったり、ちょとした日常の生活の中で犬は勝手に間違った学習をしてしまっている事は沢山あると思います。私たちも、経験の中でそのような状況に出会ったときにはすぐその場で修正します。ただ、そのようなケースはいろいろな形で現れますので、犬がいつもと違った行動をし始めたらすぐに誰か詳しい人に相談してみてください修正は早ければ早いほど楽に出来ます。

 しょせん犬、されど犬です。声でしかるもよし、リードを使ってしかるもよし、いけない事を心から叱り、その子がそれを理解してくれたらその何十倍もほめてやってください。
しかることでその服従心を継続し、ほめる事、その子を心で受け止め、受け入れてやる事で安心して服従する事に喜びを感じるようになります。この繰り返しの中で犬とのコミュニケーションも確立され、お互いが意義のある穏やかな幸福感を味わうことが出来るのです。

そう、何も出来なくてもいいのです。その子との心の触れ合いが出来れば。
その為に必要な事を毎日の生活の中で一つ一つ焦らずにルール作りをしましょう。